学力上位の子に対して、塾がメインにやることは何か。
それは
その子達が目標とするところのレベルに合わせた対策授業
ではいだろうか。
これに対して疑問を抱く人はほぼいないはず。
絶対に。
でもね
自学のみで東大や一橋に進学していく子達がチラホラ出るようになり、
さらに自学のみでトップ校の学年1位が出るようになって、
そこに松江塾がやっていることを重ねると…
ハイレベル問題の対策授業こそ、子供から自学力を奪っているんじゃないかって思うようになったんだ。
勝手な想像じゃないよ?
現実として、その環境で学んできた子達がそういう結果を出している、という現実を踏まえてってことだからね?
あのさ
ある程度頭の良い子たちは、イメージとすれば
「そこそこ切れ味の良いナイフ」
みたいなもんだね。
まず、大抵のものは切れる。
なんなら、スパッと切れる。
そんなナイフ達に、「沼の主」を仕留める目標を与えたとする。
僕らはそのナイフ達に、沼の主の弱点を伝え、効率的に仕留められるように似たレベルの獲物で練習をさせる。
沼の主は日々成長しているから、その点も踏まえての練習だ。
沼の主がいると、沼の魚が取れなくなってしまうから
その目標設定も対策も異論なく賛成だろう。
しかし
このナイフ達は、沼の主を倒した後に
海に出なければならないことが確定しているのである。
その沼の近くには、ちょっと変わった村があって、
んー、名前は松江村だっけな?
そこの村ではね、朝から晩までナイフを研ぎ続け、浅瀬の小魚ばっかり仕留めてるんだよ。
ずーっと研いで研いで鍛えて鍛えて。なんなら刀身も長く、太くして。
小魚仕留めるのに、そんなゴツくて切れ味ヤバすぎるナイフって?笑
他の村からは笑われることもあるかもね。
で、いざ沼の主との戦いだ。
他の村のナイフ達は、練習通りに鮮やかに仕留めていく。
それに対して松江村のナイフ達は
弱点なんて知らない。
大きく振りかぶったり、真っ直ぐ突き刺したり、基本通りの動きしかできない。
それでも太く重く鋭いナイフ、切れ味は尋常じゃないレベルだから、
特に苦もなく沼の主を撃破。
そしてその直後、ナイフ達は集められ、ある事実を告げられるんだ。
「すぐに海に行って海の主を仕留めてきてください。沼の主とは別の生物です。大きさも強さも異次元です。沼の主を撃破できる確率はほぼ100%ですが、海の主を撃破できる確率は10%程度でしょう。頑張ってください!じゃ!!」
松江村のナイフ達は
なぜ、来る日も来る日も刀をでかくし、研ぎ続けたのか。
「来るべき本番に向けた着実な準備」
それである。
さて、話がおかしな方に向きかけたね。
自学ができるようになるために必要なこと。
それは、
「基礎基本の徹底習得」である。
そして、そこからの
「自らの取捨選択による、自分自身の判断による対策問題への取り組み」
である。
「これが出るよ」
と与えられるものではなく、
「これが出たら困るよな」
という自己判断こそ、
自学にとって必要にして不可欠な要素なのである。
だから僕は、何も与えない。
与えるのは、基礎のスムーズな習得と、自学することが何よりも当たり前という環境
そして、毎日薄皮一枚分の途切れない積み重ね、である。