昨日の中2、冒頭の数分を使い前日にやった国語文章題の解説を少し。
登場人物の心の変化を、文中のどの部分から読み取っていくかについてを軽くね。
国語っていうのは、目の前に「文字」しかないんだ。
鉛筆がまるでスローモーションのように床に落ちるのを、僕は瞬きもせずに見ていた。鉛筆が床に落ちていくその全てを見たのはこれが初めてだったということに、僕は新鮮な気持ちを抱いた。鉛筆は落ちたのか、落とされたのか。当の本人は落ちるその瞬間、何を感じたのか。それまで単に道具にすぎなかった鉛筆が、その時の僕にはなぜか昔からの友達のように感じられた…。それから半年が経ち、今日僕は生まれて初めての入試に挑む。もちろん、あの友達と一緒に。
例えばこんな数行の文章。
物理的には、ひらがなと漢字、カタカナの羅列に過ぎない。
しかし、その文字の連なりに人は「意味」を持たせた。
いや、逆か
意味のあるものに言葉を与え、文字を与えたのか…
まあ、それはどちらでもいい。
とにかく、目の前に書かれた文字の連なりからどれだけの想像ができるか。
国語力の差は、その差である。
文字を追う目は、まるで歯車が噛み合うように一文字ずつ文字を拾っていく。
ガキッ
とか
カチャ
とか
音はそれぞれ違うだろうが、そうやって歯車をしっかりと食いつかせながら、文字に乗った意味を頭の中で映像化していく。
鉛筆が落ちる、教室か?塾か?自室か?
スローモーションで落ちる鉛筆
季節は…夏か
落ちた鉛筆と共に入試、何かの暗示か?
半年か、それ以上の期間、一緒に頑張ってきた相棒と共に挑む入試
どうだろうか。
この主人公は、小6?中3?
この後、入試はどうなった?
そんな興味が湧いただろうか…。
文字から何を吸い上げるか。
その時、面白みや興味を感じるか否か。
それはもうね、吸い上げ続けるしかないよ。
チューチュー
チューチュー
そのために、やはり語彙は多ければ多いほど良い。
○○がまるでスローモーションのように床に○○○のを、僕は瞬きもせずに見ていた。○○が床に○○ていくその全てを見たのはこれが初めてだったということに、僕は○○な気持ちを抱いた。○○は○○たのか、○○されたのか。当の本人は○○○その○○、何を感じたのか。それまで単に道具にすぎなかった○○が、その時の僕にはなぜか昔からの○○のように感じられた…。それから半年が経ち、今日僕は生まれて初めての○○に挑む。もちろん、あの○○と一緒に。
今、「鉛筆」「落ちる」「新鮮」「瞬間」「友達」「入試」というワードを「○○」に変えてみた。
どうだろうか。
語彙が少ない子は、実際これに近い感じで文章を読んでいるのに近い。
前後から推測?
いやいや、そんな気力は保てないよ。
分からな過ぎて。
だからまず、語彙を増やすんだ。
漫画でいいからとにかく文字に触れる機会を増やそう。
とにかく、脳内を通過する文字を増やすんだ。
漫画は最高だ。
分からない語を「絵」で教えてもらいながら読めるわけだし。
その感情を表す言葉も、登場人物の顔がサポートしてくれるしね。
そうやって増やした語彙を頼りにして読む。
すると今度は、「音」「色」「温度」「広さ」そういったものまで想像できるようになるんだ。
鉛筆がまるでスローモーションのように床に落ちるのを、僕は瞬きもせずに見ていた。鉛筆が床に落ちていくその全てを見たのはこれが初めてだったということに、僕は新鮮な気持ちを抱いた。鉛筆は落ちたのか、落とされたのか。当の本人は落ちるその瞬間、何を感じたのか。それまで単に道具にすぎなかった鉛筆が、その時の僕にはなぜか昔からの友達のように感じられた…。それから半年が経ち、今日僕は生まれて初めての入試に挑む。もちろん、あの友達と一緒に。
どうだろうか。
きっと最初に読んだ時より、見える世界は変わったと思わない?