あれは高3の秋だ。
僕が在籍していたのは私大文系希望のコース。
今は定員厳格化で私大一般入試が厳しいが、当時は子供の数が多かったため、厳しさに大した違いはなかった。
クラスのほぼ全員が結果的に早慶やMARCHのどこかには進学したが、毎日みんな必死で勉強していたのを覚えている。
そんな中、ある噂が広がった。
「指定校で早稲田決まったってさ」
クラスの何人かが早々に合格を決めていったのだ。
その子達は全員が2年までは国立文系志望の子達。
2年まで数学も理科も頑張り、3年で私文に転向してきた子達だ。だから評定平均が高い高い。
僕らは早々に理系科目を切っていたため、評定平均が低い低い。
当時、指定校推薦は制度としては知っていたものの、「自分の頑張り次第で自由に進路を決めたい」という考えから、全く考えてはいなかった。
指定校推薦は、どうしても「あるものの中からしか選べない」という感覚だったんだよね。
でもさ、高3の秋は受験のプレッシャーがとてつもなく大きくなってくる時期だよね。
模試の判定もリアルに突きつけられて。
マジでやばいかも
これはいけるかな?
そんな揺れ動く気持ちを抱えながら勉強に打ち込まないといけない。
それがまだ数ヶ月続くっていう時期に
「あー、おれは指定校で早稲田決まったから」
そう言って、放課後は居残って勉強することなく早々に帰宅する子達の後ろ姿を見ながら
高1のときの、数学や化学を捨てた自分を悔やんだよね。
あの当時、もう一踏ん張りできていれば乗り越えられたんじゃないか。
高3になって入試問題に取り組んでいると
当時の定期テストがいかに簡単だったか
ワークやチャートをやり込めば、それほど苦もなく点が取れていたんじゃないか。
そんなことを考えたよなー。
高校生の成績を眺めていると
もう絶対に推薦という道がない、っていう子も多い。
残された道は「一般入試」という茨の道のみ。
当時、もっと高校部でゴリゴリやらせておけばよかったと後悔が残る。