この時期になると思い出す子がいる。
多くの松江っ子達が「理社を伸ばしさえすれば…!」と一問一答やテキストに向き合うこの時期になると。
その子は途中から入塾した子だった。
とても素直で、指示したことは素直に取り組み、
授業も笑顔で受けてくれた。
そのためか、成績もスルスルと伸びた…
社会を除いては。
そう、この子はとにかく社会が苦手だった。
とてもとても苦手だった。
一問一答をやった時も、他の子達が1問ミス、2問ミスくらいの時も、
この子はぶっちぎりで30問とか間違えた。
僕は点数を集計する時、前で名簿に記入しながら一人一人に点数を言ってもらうことが多い。
「ゼロです」
「ゼロです」
「−1です」
「ゼロです」
「ゼロです」
「−2です」
「−2です」
「−1です」
「ゼロです」
「−3です」
「−5です」
「−4です」
松江塾は何かしらの成績順で座席が変動し、前から良い順になっている。
だから、前の子から点を聞いていくと段々とミスの数は多くなる。
「−5です」
「−6です」
「−5です」
「…−36です!」
このくらい、その子はぶっちぎりで出来なかった。
すごく素直な子だったから、間違いが多くても、そのちょっと高めの透き通る声で
しっかりと自分のミスの数を言った。
毎回、毎回。
少し照れたような顔
でも、
少し悔しそうな顔。
その子には、どうしても行きたい高校があった。
どうしても、だ。
でも、
圧倒的に社会が足りてなかったんだ。
僕はその子に言い続けた。
「社会の一問一答を完璧の向こう側になるまで覚えなさい」
と。
素直なその子は
その言葉を守り、必死で頑張った。
それでもなかなか模擬の点も伸びてこない。
それでも僕は言い続けた。
「知識が足りてなければ、点も足りてこないよ」
その子は「はーい♫」
そう言って毎日毎日自学に没頭した。
ここに、一枚の紙がある。
公立高校も合格発表を終えた3月の中頃、僕のLINEに届いた画像である。
苦手教科がある?
そうか
苦手なんだね。
でも、それを克服していかないと望みは叶わないってことも分かるよね?
なぜ苦手になったのか
言うまでもない。
それにかけた時間が足りてなかったから
だよね。
だったら、積み上げるしかないんじゃないか?
どんなにへこたれても、すぐに立ち上がって
そしてコツコツと貯めていくしかないんじゃないか?
それ以外に方法はないんじゃないか?
その子は社会のせいで希望が叶わないはずだった。
しかし
結果的に社会のお陰で合格を勝ち取ったんだ。
大丈夫。
まだまだ大丈夫。
その子、冬休みの時点ではまだこう言ってたよ?
「−42です!」
って。
ここからだよ。
全てはここから!
頑張れ、中3松江っ子達!!