浦和高校の歓マラ
僕ら夫婦は当然のように見に行った。
あれはゲラおが高1の時だった。
ゲラおは友達と電車で現地に向かったが
僕ら夫婦はスタートに間に合うように車で向かった。
川越からは高速を使えば40分くらいだからね。
そして森林公園の駐車場に着き、入場ゲートに向かって歩いていると
そこに数台の大型バスが到着した。
見ると中には制服を着た女子中学生達。
バスのフロント上部を見ると
あの都内女子御三家の学校名が書いてあるではないか!
中学受験を勝ち抜き、名門ハイスペック中学に通うお嬢様達が
ゾロゾロとバスから降りてくる。
浦高生達が森林公園駅から黙々と歩いている時に
お嬢様達は「大型バス」で御移動である。
さて
そんなお嬢様達を横目に僕らは浦高生達が集まる「スタート地点」に向かう。
続々と到着する浦高生達は
リュックから体育着を取り出し、丘の斜面で着替えている。
高校生男子約1000人が
青空の下で生着替え♫
こんな姿、あのお嬢様達には見せられまい笑
その後、斜面に広がった浦高生達は
全員揃って腕立て伏せ
これから走るのに、何故か謎の腕立て伏せである。
体育教師の声と笛に合わせて
腕立て伏せ♫
僕はこの時見逃さなかった。
その丘と少し離れたところに
あのお嬢様達の数人が「お散策」しているではないか!
清楚な制服に、日焼け防止のための白い「お帽子」をかぶって。
あの半径数百メートルの中に
腕立て伏せをする短すぎる短パン男子1000人と
「お散策」をなさるお嬢様数十?数百?人。
が共存していたのだ。
浦高生達はその後スタートをし、
僕らはそのまま森林公園内の散策に行った。
そこかしこに「お嬢様」達がいて
引率の先生達と
「うふふ」
「あはは」
爽やかな笑顔と共に、「お先生」達の植物解説が聞こえて来る。
浦高生は?と見ると
坂を上がって来る姿が見える。
顔は苦痛に歪み、激しい息遣いの音まで聞こえて来る…。
題名にも書いたように、
明らかにそこに世界は「2つ」あった。
「浦高の漢達」
「御三家のお嬢様達」
おそらくあの子達はゲラおの2歳くらい下だ。
来年、あのお嬢様達の何人かは一橋大学に入学してくるだろう。
あの時、2つの世界はとんでも無く遠いところにあったはず。
しかし
それらはどこかで交差するかもしれない。
あの日のように、ね。