国語の文章題
まず何でもいいから適当に一題、ちょっと真剣に読んで解いてもらいたいんだ。
まず読む段階を冷静に考えてみよう。
自分の頭の中に、読む瞬間の直前までなかった話題がいきなり文字を通して脳内に入ってくる。
ブログなんかとは全く違うんだよ。
この先生が書く、こんなふうな題名の内容
ってことで、何となく準備もできるから。
でも、国語の文章題は違う。
言ってみれば、大型のモニターがビルの2階あたりにあるのが見える交差点で信号待ちしてると
突然モニターに動画が流れる。
爆音で銃撃戦のシーンから。
泣き叫ぶ子供
ヘリコプターが山の合間から姿を現し
ミサイルを撃ち込もうとしている。
パイロットの指先のアップになり、発射ボタンを押そうとしている。
そこにまたシーンが切り替わり
林の奥からロケットランチャーを構えた上半身裸の男の姿。
照準は、ヘリコプターに合わせられていて
そして全ての音が映像から消えた瞬間
「消えろ」
という声だけが流れ
次の瞬間、ヘリコプターが吹き飛ぶ。
その様子を立ち尽くしながら見る子供の姿
とまあ、こんな映像が交差点で信号を待っているあなたの目に飛び込んでくる。
その直後、マイクを持った人とカメラを持った人、そのほかに機材を抱えた人が何人か近寄ってきて
「問題 今の映像、登場人物は何人でしたか?」
「問題 なぜ最後子供は泣き止んでいたのですか?」
「問題 「消えろ」と言った時に他の音が全て消えていたのはなぜですか?」
と、矢継ぎ早に質問をされる。
もう信号は青になり、早く歩き出さないといけない。
「信号が変わるまで、あと10秒です!」
とどこからか声が聞こえる。
さあ
さあ
さあ!
これが国語の文章題である。
いきなり映像が飛び込んできた時
あー、戦争か
子供が住む村が狙われている
ゲリラの拠点か?
まるでランボーを思い出させるスタイルだな笑
あ、無音になった
「消えろ」の声を目立たせるための演出か
ロケットランチャーって、そんなに速く飛んだかないだら笑
とかとか
見ながらいろんな周辺知識を交えて考えないと、問題に対しては即座に答えられない。
そもそも戦争のシーンを見たことがなければ理解すらできないかもしれない。
目の前に書かれた文章
そのシーンは世界の「1%」である。
いや、それ以下かもしれない。
そんな小さな小さな世界の出来事が
そもそも子供の頭の中にあるのか、ないのか。
あったとして、どれくらいの厚みのある知識か。
実体験もあるのか、ないのか。
国語というのは、そういうことで大きく大きく結果が変わってくるのである。
もちろん、ここに「語彙の差」というのも重くのしかかってくる。
深いよ?
大きいよ?
だから当然、なかなか伸びないのである。