正直、今日は授業できないかと思っていた。
でも待ってるみんながいるから形だけでもやり抜こうと教室にきた。
前に立った。
そしたらもう、みんなが僕が話す前から僕を見てるじゃないか。
目で聞こうとしてくれているじゃないか。
それを見たら、もういろんなことがどうでも良くなった。
僕は松江塾の生徒たちのために、今この瞬間「授業」をすべき責務がある。
そう思って「頑張ろう!」と思う前に、体も心も元気になっていた。
不思議なものだ。
ふと思い出した。
もうとっくに老け込み、いろんなことを忘れてしまっているような舞台役者が
舞台に立った瞬間、さっきまでの猫背が嘘のようにピンと直立し、朗々と台詞を言う・・・
僕は何かを与えていると当時に、みんなから大きなものをもらってるんだと思った。