あんなに小さかった
あんなに弱々しかった
でも
あんなにも瑞々しかった
それは今でも目を閉じればすぐそこにいる。
愛の結晶
言葉にすればたったこれだけ。
しかし
その存在はあまりにも尊く、重く、愛おしかった。
そしてその気持ちのすぐ後ろにあいつはやってきた。
不安
あの日からずっと君の後ろに見える
君を見ているのに
君だけを見ていたいのに
いつもどこにあいつの姿があるんだ。
不安
とても大切な君
君以上に大切なものなどこの世界にはない。
その君を見る時に、いったいいつになったらあいつが消えるのか
不安
ああ
でも
そうか
君はもうあの日
ベビーベッドの上で眠った時から
一人
の時間を過ごしてきたんだな。
あっというまに幼稚園に入り、私の手から離れて一人で歩いて行った
もうあの日あの時
君は
一人
で歩いていたんだ。
一人で歩く時間を積み上げてきたんだね。
そうか
いつまでも私の手がないと生きていけいないほどの不安は
もう君は感じていないのかもしれない。
そうか
私だけなのか
君にはもう、一人で歩く時間も世界もあるんだね
でももう少しだけ
もう少しだけ
その不安
感じさせてくれないか
もう少しだけでいいから。