川越駅から松江塾までは、ほぼ一本道。
クレアモールと呼ばれる商店街を延々と歩いて行き、最後右に曲がると松江塾。
そのクレアモールはかなりの人通りがある。
塾に行く夕方は学校帰りの高校生や大学生、仕事時間も終わりに近づき最後の力を振り絞っていそうなサラリーマン
もちろん小さい子供を連れたお母さん達
川越散策を楽しむマダム達。
ちょっと早めのお酒を楽しみに町に出てきた初老の男性たち
いろんな人と歩き、すれ違うとき
この僕のやたらと感度の良い耳にはたくさんの会話が入ってくる。
帰りの時間は通りの様子も一気に夜の繁華街のそれになる。
「お兄さん!最後に一杯どーっすか?」
おいおい、最後も何もまだ一杯も飲んでないわ笑
いろんな人が声をかけてきて
道のあちこちに若者達がたまってる。
そんな中をこれまたたくさんの言葉をキャッチしながらその会話の断片を楽しむ。
食欲
性欲
物欲
モテたい
好きだ
ムカつく
好奇心
そういう、ありとあらゆる人の欲や思いが渦巻いている通りの中で
唯一、一番揺るがなく、濃く、強く向けられた思いがある。
子供を連れたお母さん達の、我が子に向けるアンテナと視線
これだ。
我が子を何かから常に守ろうと無意識に動く目
本人達は当たり前にやっていることだから意識は向けていないだろうが
ありとあらゆる人達の動きや顔、目、言葉をトレースしながら歩いていると
明らかに唯一異質なのだ。
ああ
これか、と。
これが親心の正体なのか、と。
無意識の意識
しかも一番強い意識
それが親心なんだと分かる。