生まれた瞬間
その健やかな姿だけで
この世の全ての幸せを手にした気がした。
その温かみ
その柔らかさ
その匂い
その笑顔
その泣き顔
その声
その動き
全てが
全てが
もう他に何も望むものなどないと思えるくらい
愛おしかった。
君の「初めて」の全てが
私を感動させた
そんな日々
いつからだろう
君の存在に、私の「もっと」が乗っかり始めたのは。
そこにいてくれて
そこで笑ってくれているだけで
そこで眠っているだけで
私は確かに嬉しかった
満足だった。
満ち足りていた。
でも
今
私は君に「もっと」を望んでしまっている。
君は
君の最速で成長しているはずだ。
それなのに
私が「もっと」を望んでいるのは
私の望みが君の最速を追い越してしまっていることに
なりはしないだろうか。
今君は
君の最速で成長をしているのに。
それが「最速」なのに。
私の「もっと」は
君の成長とは関係がない。
ただただ
君に苦痛とストレスと
親の期待に応えられない辛さを
与えてやしないだろうか。
いつからだろう。
この「もっと」は・・・
君は
今
君の最速で成長中だ。
わかったよ。
見守るよ
その「もっと」は
私の心の中に
閉じ込めておく。
だって
君は
私は「もっと」と言えば
その笑顔で
「わかったよ」
そう答えるから。
その笑顔の向こう側に
私を悲しませたくないという
君の優しさが見える
ごめんね
今までごめん
どうか
どうかどうか
君は健やかに成長してほしい
君は
君の最速で成長中なんだ
ありがとう
そんな成長を
私に見せてくれて
どうか
どうか
どうか